フリーランスとして仕事をしていると、売上が確定してから実際に報酬が振り込まれるまで、時間が空くことがありますよね。
例えば…業務委託では、月末にまとめて請求し、翌月末に支払われたり、
クラウドソーシングでは、振込申請をしてから実際に入金されるまでに時間がかかったり。
そんなとき、売上はいつ、どのように記録すればよいのでしょうか?
前回の記事では、借方・貸方や勘定科目など、複式簿記の基本的な仕組みを紹介しました。
今回は、私も普段行っているデザイン制作の仕事を例に、売上が発生してから入金されるまでの仕訳をわかりやすく解説します。
経費の記録方法や、発生主義と現金主義の違いについても紹介するので、実際の帳簿づけをイメージしながら読み進めてみてください♪

実際に仕訳をしてみよう!
複式簿記では、ひとつの取引を「借方(左)」と「貸方(右)」に分けて記録します。
ここでは、デザイン制作の報酬10,000円を例に考えてみましょう!
※以下は説明用の架空の取引です。
① デザイン制作の売上が確定した
デザインを納品し、報酬10,000円の売上が確定しました。
ただし、報酬はまだ振り込まれていません。
このような、仕事の対価として受け取る予定のお金を「売掛金(うりかけきん)」といいます。
売掛金は、資産のグループです。
つまり、
- 売掛金(資産)が増えた → 借方(左)
- 売上(収益)が増えた → 貸方(右)
ということです。
まだ銀行口座にお金が入っていなくても、売上が確定した時点で記録するのがポイントです。
実際に会計ソフトで入力すると、このようになります。

摘要: 取引の内容(例:バナー制作費)
取引先: 仕事を依頼してくれた会社名やお客様の名前
※説明用の架空の取引です。税区分などは事業者の状況によって異なります。
② 翌月、報酬が銀行口座に振り込まれた
その後、取引先から報酬10,000円が銀行口座に振り込まれました。
①で記録した売掛金を回収したので、今度は普通預金が増え、売掛金が減ります。
つまり、
- 普通預金(資産)が増えた → 借方(左)
- 売掛金(資産)が減った → 貸方(右)
ということです。
ここでは、新しく売上を記録するわけではありません。
すでに計上した売上の代金を受け取っただけだからです。
▼ 実際に会計ソフトで入力すると、このようになります。

発生主義と現金主義では、売上を記録するタイミングが違う
ここまで、売上が確定したときと、実際に報酬が振り込まれたときの仕訳を紹介しました。
このように、お金の入出金にかかわらず、取引が発生したタイミングで記録する方法を「発生主義」といいます。
一方、実際にお金を受け取ったり、支払ったりしたタイミングで記録する方法を「現金主義」といいます。
例えば、5月にデザインを納品して売上が確定し、6月に報酬10,000円が振り込まれた場合、売上を記録するタイミングは次のように異なります。
つまり、発生主義では「売上が確定した日」、現金主義では「お金が入った日」が基準になります。
現金主義による所得計算は、一定の条件を満たし、必要な届出を行った場合に認められる特例です。
また、現金主義による所得計算では、青色申告の55万円・65万円の特別控除は適用できません。
※売上を計上する時期は、契約内容や取引の実態によって判断します。必ずしも請求書を発行した日とは限りません。
売上の二重計上に注意!
発生主義で売上を記録した場合、入金時にもう一度「売上」を計上すると、二重計上になってしまいます。
入金時は「売掛金」を減らす仕訳をしましょう。
クラウドソーシングの報酬はどう記録する?
フリーランスの場合、クラウドソーシングサービスを利用して仕事を受注することもありますよね。
私も普段からココナラなどのクラウドソーシングを利用することもあるので、今回はココナラを例に紹介します。
クラウドソーシングでは、報酬からシステム手数料が差し引かれることがあり、売上金額と実際に受け取る金額が異なる場合があります。
例えば、次のような取引があったとします。
【架空の取引例】
- デザイン制作の報酬:10,000円
- システム利用手数料:2,000円
- 受取額:8,000円
この場合、受取額の8,000円だけを売上として記録するのではなく、売上10,000円と手数料2,000円を分けて記録します。
① 納品が完了し、売上が確定したとき
売上が確定した時点で、システム手数料もあわせて記録します。
② 報酬が銀行口座に振り込まれたとき
その後、手数料が差し引かれた報酬8,000円が銀行口座に振り込まれました。
①で計上した売掛金8,000円を回収するので、仕訳は次のようになります。
つまり、
- 普通預金(資産)が増えた → 借方(左)
- 売掛金(資産)が減った → 貸方(右)
ということです。
①で計上した売掛金8,000円が、入金によって相殺されます。
③ 入金時に振込手数料が差し引かれる場合
クラウドソーシングサービスによっては、銀行口座への振込時に手数料が発生する場合があります。
例えば、売掛金8,000円に対して振込手数料500円が差し引かれ、7,500円が入金された場合の仕訳を見てみましょう。
- 普通預金(資産)が増えた → 借方(左)
- 支払手数料(費用)が増えた → 借方(左)
- 売掛金(資産)が減った → 貸方(右)
ということです。
この場合も、振込手数料500円を経費として記録し、売掛金8,000円を回収します。
経費の仕訳も見てみよう!
ここまで売上や入金の仕訳を紹介してきましたが、仕事で使うものを購入したときも、同じように仕訳を行います。
例えば、仕事で使う文房具を現金で1,000円購入したとします。
文房具の購入費用は「消耗品費」として記録します。
この場合は、消耗品費(費用)が増えたので借方(左)に、現金(資産)が減ったので貸方(右)に記録します。
このように、経費の仕訳も勘定科目のグループと増減を考えると、左右を判断しやすくなります。
- 消耗品費(費用)が増えた → 借方(左)
- 現金(資産)が減った → 貸方(右)
ということです。
売上と同じように、勘定科目がどのグループに属しているか、増えたのか減ったのかを考えると、仕訳の左右がわかりやすくなります。
簿記の知識があっても、帳簿づけは習慣が大切!
私は高校と大学で簿記を学んできたので、借方・貸方を使った仕訳には慣れています。
そのため、会計ソフトを選ぶときも、仕訳を直接入力できる「やよいの青色申告 オンライン」が使いやすく感じました。

ただ、簿記の知識があることと、帳簿づけを習慣にできることは別の話。
仕事や家事に追われて、つい後回しになってしまうこともあります(笑)
そこで、毎月、月初の1週間で前月分の売上や経費を記録することにしました!
月初なら、月末のクレジットカードの引き落としや振込なども確認しやすく、まとめて整理できます。
簿記の知識だけでなく、無理なく続けられる仕組みを作ることも大切だと感じています。
会計ソフトを使えば、複式簿記も管理しやすい
複式簿記と聞くと、すべての仕訳や集計を自分で行わなければいけないように感じるかもしれません。
でも、会計ソフトを使えば、入力した取引をもとに帳簿や確定申告に必要な書類を作成できます。
もちろん、取引内容や勘定科目が正しいかどうかの確認は必要です。
それでも、Excelで帳簿を自作しようとしていた頃と比べると、ずいぶん管理しやすくなりました。
私は現在も「やよいの青色申告 オンライン」を使っています。
日々の取引を仕訳入力することで、青色申告決算書などの作成までサポートしてくれるので、とても助かっています!
ちなみに、事業で使用する会計ソフトの利用料も必要経費として計上できます。
帳簿づけの手間を減らせて、経費にもできるので、私にとっては必要な仕事道具のひとつです。
▼ 私が使っている会計ソフトはこちら ▼
まとめ|仕訳の基本を知って、少しずつ帳簿づけに慣れよう
今回は、フリーランスの売上や入金、経費の仕訳について、具体例を交えながら紹介しました。
仕訳で大切なのは、勘定科目がどのグループに属しているか、増えたのか減ったのかを考えることです。
最初は借方・貸方の判断に迷うこともあるかもしれませんが、実際の取引を記録していくうちに、少しずつ慣れていくと思います。
私自身も、簿記の知識を生かしながら、無理なく帳簿づけを続けられるように頑張っているところです!
これからフリーランスの帳簿づけを始める方の参考になればうれしいです。


